世界中の人間の手を集めて博物館をつくり、平和の施設に、てのひらの作品を設置するのが私の夢である。


by tunisianoyoru

芥川龍之介原作 『蜘蛛の糸』を紙芝居化 タイトル『蜘蛛女の糸』 ~山田朗紙芝居絵画 

 原作 芥川龍之介(蜘蛛の糸)

 タイトル『蜘蛛女の糸』 

 シナリオ 原画 紙芝居制作 山田朗 

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 むかしむかし、極楽には、お釈迦様と悪魔が住んでいました。極楽の、池の中に咲いている蓮の花は、なんともいえない、不思議な香りがします。
 お釈迦様と、悪魔は、池のふちに立って、毎日、良い行いをした者を、極楽に行けるように決めたり、悪事を働いた者を、地獄に落ちるように決めたりしていました。今日は、蓮の葉の間から、下の様子を見ることにしました。
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 蓮池の下は、丁度地獄の底とつながっており、三途の河や、血の池地獄が見えます。血の池の周りには、恐ろしい針の山で、かこまれており、真っ暗で、ときおり、うめき声が聞こえてきます。罪人たちは、地獄の責め苦に、つかれはてて、浮いたり沈んだりしていました。

 すると、地獄の底に、カンダタと云う男が、ほかの罪人と一緒に、蠢いている姿が、目に止まりました。
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 悪魔は言います。「このカンダタと云う男、人を殺したり、家に火をつけたりした、手がつけられない大泥坊で、いろいろ悪事を繰り返し、まるで人のことなど考えたことはない奴だった。良いことは、ほとんどしなかった。地獄に来たときも、まるで、反省する様子がないので、俺が、地獄の底まで、落としてやったのだ。」
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 お釈迦様は言いました。「このカンダタという男はいろいろ悪事を働きましたが、それでもたった一つ、善い事をしたことを覚えています
。ある時この男が深い林の中を通りますと、みちばたに倒れていた蜘蛛女を助けて、病気が治るまで看病したことがあるのです。」
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 悪魔は、お釈迦様の話を聞いて、カンダタに、助けられた、蜘蛛女を、極楽に呼びよせました。
「この蜘蛛女は、なかなか美しいではないか、カンダタが、蜘蛛女を助けたことは、親切な心からではなく、なにか良からぬ下心が、あったからに違いない。」

 お釈迦様は、悪魔の話を聞いて、言いました。「この蜘蛛女は、地獄に糸をたらして、カンダタを、助けるつもりのようだ。蜘蛛女は、本当にカンダタに、感謝しているらしい。もしカンダタが、一人で糸をつたって、ここまで登ってくることが出来れば、蜘蛛女の、一途な思いに免じて、これまでのことは、ゆるしてやろう。」
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 ある時の事、なにげなく、カンダタが頭を挙げて、血の池の空を眺めると、闇の中を、遠い遠い天上から、銀色の蜘蛛の糸が、ひとすじ細く光ながら、するすると、自分の上へ垂れてくるではありませんか。カンダタはこれを見ると、思わず手をうって喜びました。この糸にすがりついて、どこまでものぼっていけば、きっと、地獄から抜け出せるのに、違いありません。いや、うまくいくと、極楽へはいる事さえ出来るでしょう。そうすれば、もう針の山へ追い上げられる事もなくなれば、血の池に沈められる事もありません。

 こう思いましたが、ふとカンダタは考えました。「おれは大泥棒のカンダタだ、俺の腕ならこの糸を伝って、一人で地獄から脱出するのは、簡単なことだ。それではあまりに芸がない。なにかよい方法はないものか。」
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 そこでカンダタは誰かを連れて、一緒に逃げることを思いつきました。
ただ、大勢で行くと、糸が切れてしまうかもしれないと思い、血の池地獄まで落ちてしまった、一人の不幸な娘を連れていきます。
 カンダタは糸を、上へ上へとたぐり、ぐんぐん登ります。元より大泥坊の事ですから、こう云う事には昔から、慣れたものです。ようやく出口が見えてきて、極楽の光がカンダタたちを照らします。
「俺は、今まで、生きていくためとはいえ、さんざん悪いことをしてきた。人の喜ぶようなことを、ほとんどしなかった。その結果、地獄の底まで、落ちることになってしまった。けれどもこれからは、心を入れかえて、この娘と一緒にくらしていくことにしよう。」

 しかしこのとき、蜘蛛女は、カンダタ達のすぐ上にいたので、カンダタが別の娘と、一緒に登って来たことを知って、美しい顔が、みるみる恐ろしい顔になっていきます。極楽の出口まで、たどり着いたカンダタは…
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いきなり蜘蛛女に「ガブッ」と噛み付かれました。

「いままで、私以外の女も、そうやって助けてきたのね!!!しかも、私よりも若い女を!!!絶対にゆるせない!!!喰らってくれるわ!!!」

 蜘蛛女は、恐ろしい声で叫びながら、カンダタに噛み付いて離れません。

「せっかく地獄を抜けたと思ったのに、極楽にも、こんなに恐ろしい魔物が住んでいたとは!………この世に美しいものはないのか……。」
 こうしてカンダタは蜘蛛女に喰われてしまいました。
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 カンダタを喰らったことで、美しかった蜘蛛女は、醜く恐ろしい魔物になってしまいました。カンダタを、一途に思っていた、蜘蛛女の怒りは収まらず、どんどん糸を吐いて、下から登ってくる者たちを、片っ端からを捕まえては喰らうのでした。
 「ああ、喰らっても喰らっても、腹がすいてたまらぬ。」
食べ過ぎで、蜘蛛女の体は大きく太り、極楽の出口に、挟まって動くことができなくなってしまいました。
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 一方極楽では、お釈迦様と悪魔が、極楽の蓮池のふちに立って、この一部始終をじっと見ていました。

 お釈迦様はつぶやきました。「カンダタは、最後に改心して、心を入れかえたので、その一生は、まったく無駄にはならなかった。ただ、少しばかり、心を入れかえるのが、遅かったのが残念だ。蜘蛛女は、自分が助けようとしている相手に向けて、糸を差し伸べたが、その男は糸を伝って、よその娘を連れてきてしまったので、その男がゆるせなくなってしまったのだ。結果としては、蜘蛛女は、魔物になってしまったが、カンダタも蜘蛛女も、愛情を持ってやろうとしたことなので、二人の魂は救われるだろう。」

 お釈迦様の話を、聞いていた、悪魔は言いました。「カンダタは、一人で登ってきたなら助かったのに、地獄の底で、不幸な娘を助けたおかげで、結局救われなかった。愛することは、良いことだと、あんたは言うが、蜘蛛女は、カンダタを強く思いすぎたために、魔物になり、カンダタは、多くを愛したために、身を滅ぼした。この世で一番幸せになった奴は、何も、愛さなかった奴のことだと、俺は、思うね。それは、ねえ、あんたや俺みたいな奴の、ことでしょうが、お釈迦さん。」 

 極楽では、風はあるかないかしか吹かず、蓮池の、白い花は、お釈迦様の足のまわりに、かすかにゆれておりました。その真ん中にある金色の蕊(こんじきのずい)からは、不思議な香りが、あたりへあふれているのでした。極楽では、むかしから今日に至るまで、このようなことが毎日行われており、お釈迦様と悪魔がはなしあっているそうです。
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『East Omi Street』  ~2010/1/5~3/31~

場所 『ふれあい美術館・薬膳料理』

    〒527-0023 滋賀県東近江市八日市緑町4-1
    近江鉄道八日市駅から徒歩10分程度 TEL 0748-22-6866

期間 2010年1月5日~3月31日 10時から16時 日曜日は休館 
    (イベントで日曜日が開くことがあります。)
    料理を注文する場合は要予約。一人1000円程度。

展示内容 東近江の若手アーティストの展覧会。 展示企画 山田朗 
    
1F
   『Project Of Hand~山田朗てのひら彫刻展』
    2010/1/5~3/31まで
現在No.58 No.60 No64 No.67を展示 1月5日(火)~2月13日(土)4時まで。
次回No.61 No.63 No65 No.66を展示 2月15日(月)~3月6日(土)4時まで。

2F
   StageA 
   『太田良一~ストリート絵画』
    2010年1月12日から2月13日(土)4時まで。

   『K~一秒間の軌跡』
    2010年2月15日(月)~3月6日(土)4時まで。

   『加藤貴宏写真展~酒と葉巻と革命と』
    2010年3月8日(月)~3月31日(水)。


   StageB
   『山田朗~紙芝居絵画』
    2010/1/12~3/31 
   『二十日鼠と人間』 1月12日(火)~1月30日(土)
   『蜘蛛女の糸』 2月8日(月)~2月下旬ごろ
   『サロメ』 2月下旬~3月下旬ごろ
   『フランダースの犬』 未定。
   『線画シリーズ単品集』  その他、野外壁画の展示など。

Event
   『CREATIVE FUSION~沖縄のアイランドジャズバンド・増井林太郎他』
    2010年3月ごろ 調整中。

ふれあい美術館・薬膳料理の駐車場は3台です。

 最近作者は、2個の木製コマを左右に持ち、同時に空中に投げ、地面に付く前に両手に乗せる『両手投げ両手乗せ』という芸を練習しています。まだ成功率が低いです。三回に一度は成功できるようになりたいと思っています。
by tunisianoyoru | 2010-02-07 00:59 | 作家活動日誌(第二部)