世界中の人間の手を集めて博物館をつくり、平和の施設に、てのひらの作品を設置するのが私の夢である。


by tunisianoyoru

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てのひらの制作手順

前回までのあらすじ 

山を越え湖を抜け、沙漠を横断した玄奘三蔵一行は、斉天大聖が置いていった壷を発見する。天竺へ行くためには、壷の中に手を入れて金角大王の正体を見破らなければならないのでした。

てのひらの制作手順の紹介です。

撮影者 おおたさん
制作者 山田朗

コピー剤を水に混ぜて筒に流し込み手をつっこみます。
コピー剤といっても植物性の素材なので安全です。捨てるときも安心です。
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材料はこれだけ。
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水道水が4.2ℓ必要なだけです。

15℃~20℃の水が理想です。
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筒は底が抜けるものがいいです。この形なら何度も使えます。
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自由にポーズをとれます。
拳をにぎったり、指を輪にしたりできます。半にぎりのポーズは指先に石膏が入らず空気が残ってしまうため指先が欠けますので注意が必要です。
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なるべく気泡が入らないように混ぜます。
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筒にコピー剤を入れます。
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今回は強引に両手を入れました。
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コピー剤は10分足らずで固まります。カンテンを硬くしたような硬さです。腕をぬくときはなるべく型を傷つけないようにゆっくりぬいてください。

中にゴミが入らないように気をつけてください。
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手を入れてもらうモデルさんの仕事はここまでで終了です。
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ここに石膏を流しこみます。石膏と水の割合ですが、石膏が多すぎるとドロドロになって流し込めないです。
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土台もついでに作ってしまいます。このように粘土で壁を作ります。

流し込んだ石膏が筒に付着すると取り出すことが難しくなるためです。

流しこむ石膏をオリジナルブレンドします。固まってから乾燥すると色が薄くなります。
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流し込み。石膏の色はレッド、ブルーグレイ、桜色、グリーン、ライトイエロー、ホワイト、ブラウン、シナバーグリーン、グリーングレイなどあります。

石膏が完全に固まるまで待ちます。一時間もすればまずまず固まりますが、半日ぐらい置いたほうがしっかり硬くなります。
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石膏が固まったら粘土を取ります。
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フタを外します。

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プッチンプリンのでかいやつに見えますね。

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フフフ。
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こんな感じで出てきます。
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無理なポーズをしたので指先まで石膏が入っていません。
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洗います。
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通常ほとんど修正の必要はないのですが、今回はむちゃくちゃなポーズにしましたので指先を作ってみようと思います。石膏を指の形に付けていきます。
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このとき色を合わせるのが非常に難しいです。作者は修練を積みましたが、水と石膏の比率を合わせても、本体が吸水するため色が濃くなってしまいます。可塑性を高めるため水と石膏の比率を変えたほうが作業性が上がるのですが、これは危険です。石膏の色素を半分くらいに薄めて修正すると同じくらいの色になりますが、2~3日経つと色が出てきたり、逆に白くなってしまったりとかなりシビアです。

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削って爪の形を作ります。このとき修正した部分の石膏は色が同じですが、2~3日経つと、修正部分が真っ赤になってしまいやり直しです。
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光の調整をして写真を撮ります。
カッコよく写真をとる研究会を何度もやりました。成果は出ていると思います。
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このてのひらの作品は100人いれば100通りの感想があります。
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興味ないという人もいれば、すごく面白いと感じる人もいます。
けっこう女性にも人気があります。

かっこいい人の手とか、美人の手とかならぜひ売ってくれといわれます。そんなコレクションにしていきたいです。本当に作品を気に入っていただいた方に作品が買われていけば、作品も大切にされると思います。

各シリーズごとに作品が増えてくれば展覧会をしたいと思います。販売した作品も展示のため集めさせてもらうことがあります。モデルになっていただいた方も、買っていただいた方も、作品全体の参加者として楽しめる形が作りたいと思っています。
by tunisianoyoru | 2009-09-23 00:27 | 作家活動日誌(第二部)
次回の展覧会について告知します。

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2009年10月17日(土)~10月23日金)

『山田朗彫刻展 てのひら展覧会』 
~人間について考える人達~

会場 アートスペース ひらき 
http://ftvjapan.ddo.jp/~hiraki/

10時~18時 10/19(月)は休館。

〒524-0046 滋賀県守山市今宿2-14-5
Tel077-535-4737

今回の展覧会から作品の販売はじめます。

会場でお客さんの手を取るイベントやります。(有料)

イベントの説明は次回のブログでやります。
by tunisianoyoru | 2009-09-17 00:17 | 作家活動日誌(第二部)

砂漠の変態アポロン

砂の畑が広がり、汗がすぐに蒸発する。どうやら我々は砂の街に来ているらしい。

変態アポロンが、砂を熱くする呪いをかける。
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ピラミッドを建てるために石を引きずっていると、次第に頭が砂の中に沈んでいく感覚にとらわれ、もう自分は正常な思考を失っていることをかすかに残った意識で感じていた。

頭の奥に誰かの声が響いた。

「私は肉体の支配者であり、おまえは私の奴隷である。」

自分に対して、より多く支配的であるのか、隷属的であるのか、

理性と本能のあいだには乾いた砂の壁が立ちはだかっていた。
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「大切なものをエサに付けるんだ。そうすればいい物が釣れますよ。」

「信用とか愛とかをエサにつけてください。」

貝殻の破片がささやいた。

「やさしさとかやすらぎをエサに付けてごらんよ。」

ラベルのないビンが、誘いをかけた。

「きっと、いいものが釣れるよ。とびきりの、でかい獲物がね。」
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頭のない魚は言った。

「ここにやってくる釣り人たちは、金とか、嘘とかそういうもので釣っているよ。」

貝殻の破片が答えた。

「何が釣れているのかは、私にはわからないけれど…」

ラベルのないビンは言う。

「なんだか、とてもつまらなさそうに帰っていきますね。」
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頭のない魚は言った。

「持っているだけでは意味がないってことをみんな感じていてここに来るんだが…」

「しかし、交換してみたところで、たいしたものは手に入らないのさ。」

話を聞いていた海がしゃべった。

「けれどもそうしなくっちゃいられないんでしょうな。」
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続いて砂が答えた。

「大切なものをエサにして、くだらないものを釣り上げた奴は、何かを釣ろうとするエサ自体に価値を見出すことのできるようになりますよ。」

海は言った。

「なにがどうしても釣らずにはいられないのですよ。」

「たとえつまらんものしかないとしても、釣ろうとしないで帰ってしまうことはもっとバカバカしいじゃありませんか。」
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頭のない魚は言う。

「悪趣味で、下品で、どうしようもなく美しいものが釣りたいんでしょうが、ねえ、変態貴族のおぼっちゃん。」

砂は言った。

「釣るやつはバカだが、釣らなかった奴はもっとバカだと、砂の上に書いた奴がいました。」


突然雲が割れて光が眼を貫いた。
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外部を侵略していた意識が、身体の中に戻る。

猜疑心の仮面が告白をはじめた。

「欲望の種類は、欠乏のはじまりでした。」

「何かを魅了し、何かを裏切っていました。」

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by tunisianoyoru | 2009-09-01 01:55 | 作家活動日誌(第二部)