世界中の人間の手を集めて博物館をつくり、平和の施設に、てのひらの作品を設置するのが私の夢である。


by tunisianoyoru

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~大阪芸術大学所蔵品展~
 2010年 9月 博物館実習 展示実習を振り返って 


展示案について
 「5グループに分かれて、各班ごとに展示を考えてください。博物館実習という性格から、各自の体験を重視したいと思いますので、いろいろ試してみてください。」という内容。
 写真は暗い展示室で急いで撮ったのできれいではありません。実際は見るともっときれいに展示されています。

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 青磁の展示について 北宋の青磁と高麗青磁 計5点 イメージ 『生』

 配置については、メインとなるものには台を置いて大きくスペースを使っている。
 テグスの太い、細いの使い分けた。チューブを使うものと使わないものの使い分けている。見え方が変わってくる。
 皿については、のりパネを切って薄用紙で保護したものを作り、斜めに角度を出した。観客の視線に対する資料の角度を考えた。

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 青磁天鶏壷、斜め三点の配置、台についても資料が見やすいように色合いを考えた。テグスをかけ、部分的にはEQガードを使った。

 花器のライティング、影が出ないように上からのライトを主とした。首に影が出るため、ライトを当てて調整。キャプションの部分のライトは、人の背中に当たって影にならないように、角度を調整した。

 青磁を置いたのは、展示室の最奥の部分なのですが、展覧会として重要な位置であるため、時間をかけているのがわかります。完成度が高いです。

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 彫刻のスペース 十二神将像他 計4点 イメージ 『彫』

 このスペースは展示に時間がかかると予想していました。前後の展示ケースにスペースをとられて、狭くなってしまったことは反省点。展示済みの資料は台を動かしてはいけないので、このまま置きました。第3案のカットスポットを使った三次元的立体に浮かびあがらせる。という案が魅力的であり、この案を採用したためライティングにも時間がかかった。

 本来ケースに入れるべきだが、圧倒的に外に展示したいという案が多かったことと、レプリカを使っているため、本物の素材が木ということを想定し忘れたことがあります。調湿の概念が抜けているところは課題が残りました。木彫は湿度が高め65~75%程度が一般的らしいので、調湿しないとよくありません。本物なら乾燥して、ひび割れがおきる可能性があります。

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 これはカットスポットを使い、影がドラマティックな効果を生み出したものの、全体像が見えないので、博物館の展示としては全体が見えないのはあまり一般的ではないとのこと。
 カットスポット扱いが難しく、正面から平面を四角に照らすこと以外の用途に使うことは難しいことがわかりました。普通のスポットを使うのが無難だと思います。照度は150ルクスにしています。

 テグスの位置は資料によって最適な本数、ポイントを探した。台の大きさの限界や、キャプションの大きさや、ライトの角度の限界など、予想通り展示作業は難航しました。多くの課題と発見があり、実習としては充実したものになったと思います。

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 試行錯誤した結果、テグスをかけるのに抵抗があり、鋳造物という設定に変更。EQガードを使うことにしました。彫刻の展示は、照明3種類を使い、テグスは難しいし、キャプションは置き場に困るしと、相当の試行錯誤があった。この班はきつかったと思います。ただ、色々試していただいたので、展示実習的によかったです。

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 茶碗 計3点 イメージ 『趣』
 もともと扱いにくい上に、茶道の知識がないと、茶碗の展示は難しいと思います。ここは私が最も自信がなかった箇所で、ほとんど展示担当の方に任せきりでした。
 展示に箱書きは必要。箱本体の展示はしなくてもいい。ふくさは下に敷くのが一般的、など知らないことばかりでした。

 台が低いとの指摘があり、。ひらのぞき台は高さ55センチではしゃがまないと横から見ることができないという展示計画上の欠陥がありました。茶碗の横の絵を見せるためには、高い台にしたほうがよかったです。ここを高くすると奥の彫刻と青磁の展示が見えないため、低くしているのですが、展示計画の段階でもう少し考えるべきだった(茶碗の展示経験が少なかった)と思います。

 このスペースなら3点置くのはきつい、思い切って2点に絞って十分スペースを使った展示にしてもいい。などの指摘がありました。

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 茶碗の裏などを写真で撮り、見えない部分を補うなどの方法。テグスについては地震の縦揺れなどに配慮。テグスについてはかなり神経を使っていた。免震台についての説明を受ける。勉強させていただきました。

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 漆器 計2点 イメージ 『塗』
 ここは私が担当した箇所ですが、他の展示が気になって、自分の班の展示は甘くなってしまったと反省しています。ご迷惑をかけました。

 テグスは漆器に展示中ずっとテンションがかかることを考慮して使いませんでした。
アクリルの小さいカットボードで角度を付けています。このときピンで台に固定すること。蓋は模様の方向を良く見て展示することなど、が反省点です。

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 正面に立ったとき最も見やすい角度を中心にして、枠をつくり、視線の流れを予測し、最も疲労度が少ないキャプションの位置を検討しています。

 キャプションの角度を付けて、字が読みやすくしています。隣の展示からどのように視線が移るか、見る者の目が動く順番を計算しました。展示イメージの『塗』の位置は、壁に高めに打ち、上下左右に視線が動くように展示空間を演出ししました。

 照度は調光器で150ルクスにあわせています。漆は調湿したほうがよいのでケースに水の入ったコップを入れる。(写真の奥)ガーゼが入っているのは、蒸発しやすくするため。

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 縄文土器、埴輪の展示 計6点 イメージ 『祈』
 入り口付近の展示です。ここには最も展示が困難ではないかと思われる、自立しない土偶がありました。 
 展示計画では、縄文を奥に置いてメインにするか、時代区分にあわせて入り口に置くか意見がわかれました。展示台の幅3.6mで6点並列は少しきついかもしれません。台を使って奥行きと高低を利用する方法もあったかもしれません。

 縄文土器は、一点につき、小型の展示台一台を使い、一点置きという方法もありとのこと。展示順序がポイントで、位置を決めて壁際から展示していく。この班は、台が角にあって、展示作業がしにくいことがありました。
 展示の流れとしては、資料をおろして、台に布かマットなどを敷いて、台に乗って展示作業をしていく方法などがあるとのこと。

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 土偶はL字に木材を組み、フェルトで保護し、テグスで固定しているとのこと。実際にはフォークリフトのツメのようなものにひっかけたり、土偶に形を掘り込んだりする展示パターンもあるようです。埴輪は、展示物と台の色が近いので、濃い目のグレーの板を下に敷くといい感じになると思いました。
 ここのメンバーは展示案のサブリーダーいて、版画の展示や、面の展示を手伝ったり全体の調整をしてくれていました。

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 面の展示 計1点 イメージ 『舞』
 かっこよく展示されていていい感じです。
 面の展示位置については、第1班も2班も同じで、入り口でした。視覚を重視して壁に掛けるか、保存・安全性を重視してケースに入れるか、展示案を出した我々と、展示担当者との間で、意見がわかれた。展示は成功していると思います。

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 パネルに黒フェルトを張ってパネルを作ったことがよかったです。ヒゲも枠に収まっていますし、カットスポットによる照明もいい感じで、インパクトがあります。
 テグスを通して吊っています。調湿、防犯、については入り口付近ということもあってやや不安がありますが、壁に掛ける場合、額などを特別に作って、調湿剤を入れるなどすれば、クリアできるようです。実際に今後、面を吊る機会があるかもしれず、面の展示について考えることができたのはよかったと思います。


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 入り口に竹久夢二の版画を展示 計5点 
 展示室の空間を落ち着いたものにしたと思ったので、夢二の版画を展示室の外に出しました。
 展示計画では、どうしても他の資料と版画がかみ合わないので置き場に困ったというのが本当のところです。展示にはイメージに合わないものを置かないことが重要と思っています。違和感が少しでもある場合は、展示しないか、しきりを作ったりして、別枠を作ることを考えるようにしています。

 奥の扉や、解説パネルなどの設定があり、5枚という選択になりました。
 展示は、水平器を使ってもいいですが、慣れてる人は自分の目を信じてもいいと思います。

 高さは絵の中央が150cmにしています。女性にはちょっと高いかもしれません。普通は絵の中央の高さが140cmぐらいが見やすいようです。レーザー墨だし器は使えることが判明。照明はウォールウォッシャーを使いましたが、この照明は展示にメリハリがでないです。ここではスポットを使ったほうがよかったと思います。

 平面展示のキャプションの位置についてですが、画面では絵の左下に置いています。諸説あるようで、絵の右下か左下か迷います。洋画では絵の左下が一般的ではないかと思います。というのは、サインなどが左下に入っていることが多いからでしょうか。あるいは、絵を見た後にキャプションを見るという視線の動きを作るためかもしれません。博物館では、右下が一般的ということです。情報優先で、キャプションを重視するためではないかと思います。特に決まっているとは思えず展示者によるというのが結論です。

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 雑感。
 みなさん熱意があり、すばらしい内容の学習ができたと思います。おつかれさまでした。それぞれのメンバーが力を合わせた結果、良いものができたと思います。ほとんど皆さんに任せっぱなしで、たいしたこともできませんでした。みなさんの展示を見て感動しました。

 大学独自の博物館がなければ、こうして皆が集まって、展示実習をする機会がなかったわけですから、これからの交流も大切にして、活かしていきたいと思います。大変貴重な時間でした。
 田中先生、村上先生、博物館の学芸員の柳さん、小口さん、松井さんありがとうございました。一緒に実習をうけたみなさんありがとうございました。

 このときの実習生さんに感想書いていただけるとありがたいです。
by tunisianoyoru | 2010-10-04 10:53 | 作家活動日誌(第二部)